宇宙ミュージアム『TeNQ(テンキュー)』

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「スティーブ・スクワイヤーズ博士と
サイエンスを語る会」を開催

8/20(木)、「火星に水があったことを証明した」コーネル大学のスティーブ・スクワイヤーズ博士にTeNQにお越しいただき、サイエンスエリアにて、来館者とのトークセッションを実施しました。

スクワイヤーズ博士は、火星探査車「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」の指揮をとった方で、まさに火星研究の第一人者です。

「惑星科学にノーベル賞はないですが、もしあれば、彼は間違いなくノーベル賞受賞者です」と、東京大学準教授であり、TeNQ内にあるリサーチセンター室長でもある宮本先生のご紹介で博士が登場しました。

<講演会概要>

日 時
平成27年8月20日(木) 17:00-18:00

場 所
TeNQ内 サイエンスエリア

<講演者>

スティーブ・スクワイヤーズ博士
1956年生まれ。アメリカ・ニュージャージー州出身。コーネル大学の天文学教授であり、NASAでの火星研究チームを率いています。これまで数々の賞を受賞している、火星探査のプロフェッショナルです。

スティーブ・スクワイヤーズ博士プロフィール(Wikipedia)※外国語サイトへ飛びます

講演内容


Image credit: NASA/JPL/Cornell University
火星上で活動しているマーズ・エクスプロレーション・ローバの想像図。

火星探査車「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」とは?

NASAが2003年に打ち上げた、火星の表面・地質調査を目的とする2機の無人探査車です。2機はそれぞれ「スピリット」「オポチュニティ」と名づけられ、打ち上げから約半年をかけ火星に到着しました。その後、2機は火星表面を探索し、地面に残された鉱物や地形的な痕跡などから、火星には過去に「液体の水」があった、という事実を発見したのです。

会場からは、専門的な質問から、スクワイヤーズ博士の生い立ちに関する質問、さらには進路相談まで、様々な質問が寄せられました。ここで、一部の質問をご紹介いたします。

Q&A


Q)地球以外に生命は存在しますか?

A)私が師事していたカール・セーガンも言っていたように、科学では大事なことを証明するには確かな証拠が必要です。現在はそこまでに至っていません。

Q)火星に移住はできますか?

A)テラフォーミングといって環境を人が住めるように変えていく技術のことですが、それはかなり先のことになりそうです。その技術があったらまずは地球から使っていくでしょう。

Q)私は「火星の夕焼け」というものを見てみたいのですが、博士は火星に行ったら何をしたいですか?

A)確かに日が沈んでいくのはキレイでしょうね。私は、おかしなことですが、既に探査車が行った場所、長い間4,000人もの人と共に働いたその目的地を、実際に確かめてみたいです。

Q)宇宙飛行士になろうとは思わなかったのですか?

A)長い間考えていました。私は地質学者で石が好きなので、惑星の表面、中でも火星に行きたかった。今の技術では人が火星に行くことはできないので、代わりに探査車に行ってもらいました。宇宙飛行士みたいなことならやったことがあります。フロリダにある水深20mの水中トレーニング施設で、小惑星探査をする為の訓練に参加しました。訓練に参加した4人のうち3人が宇宙飛行士で、あとは私です。その宇宙飛行士の中には、今宇宙に行っている油井さんもいました。

Q)博士のような研究者にも家族の支えが必要だと思いますが、どうやって素敵な奥様を見つけたのですか?

A)私はとてもラッキーでした。妻も地質学者で、学校で出会いました。娘は2人いて、1人は結婚しましたが、私の16年にも渡るミッションの間、家族みんなで私の仕事を理解し、支えてくれています。

Q)博士が地質学に興味を持ったキッカケはなんですか?

A)幼い頃は天文や生物も含めた「すべての科学」に興味がありました。私の育ったニュージャージーはなだらかな土地なのですが、8才のある日、両親とコロラドに行く機会がありました。目の前に広がる美しい山、美しい気候に強い興味を抱き、気づけば地質学に目覚めていました。

Q)ローバーがうまく動かなかった時はありますか?

A)頻繁にあります。機械的・電子的な問題もあれば、研究者達が間違えていて思った通りにいかない時もあります。火星は不思議な星で、砂丘を進んでいるつもりだったのに、タイヤが空回りして単に沈んでしまっていた、ということもありました。

Q)過去にやり残したことや、人生で後悔していることはありますか?

A)大事なことでは、今までそんなに後悔はありません。何かこれと決めたことは一生懸命やってきました。火星のミッションでも結果としては2/3は失敗していますが、それでも満足しています。

Q)2020年打上の次のローバーは、今までと何が違うのですか?

A)3年前に到着したキュリオシティと同じサイズ・同じデザインで似ています。違いは、穴を掘って地中からサンプルを採っておいて、後の別の探査機で持って帰るのに備えることです。持ち帰るための探査機は、はやぶさのように火星から離脱したサンプルを持って帰るようになります。

Q)火星で歌いたい歌や、食べたいものはありますか?

A)ローバーの探査中は毎日違う曲を流していました。食べ物は何でもいいです。火星は寒く乾燥していて埃っぽい場所で、水はたくさん必要ですね。

Q)地球以外に文明のある星はあると思いますか?

A)近年の研究ではエウロパ(木星の衛星)やエンセラダス(土星の衛星)などに生命があるかもしれないことがわかってきています。しかし、それはおそらく単純構造のもので、知的生命体を探すなら太陽系外を探す必要があるでしょう。この10~20年で研究が進んだのは、実は宇宙には惑星がこれまで考えられていたよりもたくさんあるらしい、ということです。そんなにたくさんあれば、確率的に私たちのような文明がどこかにあるかも知れません。そのような生命体の探求は難しいことですが、宇宙科学を発展させる上で、最も重要なミッションのひとつと私は考えます。

Q)ローバーによる探査で初めて知ったことはありますか?

A)それは初日から驚くことばかりでしたよ! オポチュニティが火星に降り立った時、丸い小さい粒があるのに驚きました。“ブルーベリー“とあだ名をつけましたが、これは酸化鉄が液体の水の中で濃集してつくられたもの(=火星に水があったことに繋がる発見)で、これは大きな驚きでした。ミッションを通して最も驚いたことは「火星はなんて驚くべきことの多い惑星なんだ」ということです。


Image credit: NASA/JPL-Caltech/Cornell/USGS
オポチュニティはメリディアニ平原の表面からブルーベリーと呼ばれる直径約3 cmの球状物質を発見した。このブルーベリーには酸化鉄が濃集しており、地球上では水中で長時間かけて形成されることから、過去の火星が水に富んでいた証拠になりうる。

Q)私には息子がいて、博士のように好きなことを見つけてほしいと思っていますが、博士は両親からはどうやって育てられましたか?

A)私の父は工学、母は動物学と、どちらも科学者で、幼い頃の疑問はすべて両親に尋ねました。両親はインドア派でしたが、私が地質学に興味があると分かると、私が18才の頃には一緒にアラスカへ出かけてくれるなど、私の好奇心を積極的にバックアップしてくれる人たちでした。

Q)家庭円満の努力と研究に対する努力で通じることはありますか?

A)2人の娘には小さい時から、私が何をしているか丁寧に話すようにしていましたので、面白いと思ってくれたようです。子供が大事だと思っていることに対しても、例えば下の娘が熱心に取り組んだ乗馬のレースにも仕事の合間に付き合うなど、家族みんながお互いに興味を持ち合っています。上の娘も科学者になりました。

Q)博士はとても筋肉がついていますが、なにかスポーツをして鍛えていますか?

A)サイクリング、クロスカントリー、スキー、スキューバダイビングなど日々楽しんでいます。

Q)私は現在、大学で文系科目を学んでいますが、将来宇宙に関わる仕事をしたいと思っています。やはり理系でないと仕事にはできませんか?

A)私のローバーのミッションに関わってくれたひとりの女性を紹介しましょう。彼女は会計士であり弁護士でもあるのです。ミッションは1日に数百万ドルもつかう大掛かりなものですので、会計士や弁護士は必要不可欠な人材でした。他にも芸術家もいますし、科学ミッションに関わるのは技術者や科学者だけではなく、様々な分野の人がいますよ。

Q)私たち人類が火星に簡単に行けるようになったら、どんな生活を送ることになりますか?

A)おそらく「南極探検隊」のようなものになるでしょう。ベース(基地)があり、そこには寒過ぎてずっとはいられないので、定期的に本拠地に帰る、そんなことになると考えます。火星は面白いところですが、まだまだ住むには地球が良いですよ。

まとめ

スクワイヤーズ博士は、時折ユーモアをはさみつつ、真面目に、そしてわかりやすく来場者の方々の質問にお答えくださいました。写真撮影やサインにも笑顔で応じてくださり、講演会後は長蛇の列も!
1時間程でしたが世界的な科学者との素敵な時間、博士どうもありがとうございました!

ローバーより実際に撮影された火星映像の前
(左:スクワイヤーズ博士、右:宮本英昭 准教授)

博士はシアター宙をご覧になり、TeNQのことを「Fantastic(素晴らしい)!」と讃えて頂きました。

博士の著書『ローバー、火星を駆ける』にサインをいただきました!

この日は平日でしたが、夏休みということもあり、お子様から大人まで、非常に多くの方々にご参加いただきました。普段は会えないような科学者の方々のお話が聞けるワクワク感は、みなさまと同じように、私たちTeNQ運営スタッフも感じております!

今後もTeNQでは、みなさまと宇宙を少しでもつなげられるイベントを開催したいと思います。
どうぞお楽しみに!

営業時間

平日11:00~21:00
(最終入館 20:00)
土日祝・特定日 10:00~21:00
(最終入館 20:00)

休館日:12/5(火)
特定日は春夏冬休みなど
※年中無休

TeNQファミリーデー:
11/23(木・祝)、12/3(日)
(4歳未満の方も入館可)
※詳細はこちら

お問い合わせ:03-3814-0109(営業時間内)
場所:黄色いビル6F

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